クレジットカード

使う機会が多い流通系クレカ

クレジットカード事業に大手小売業が進出した背景には、業務のシステム化の進展があるようです。70年代後半にかけて 多くの企業で、POS(Point-Of-Sale)というシステムがスーパーのレジに導入されていきました。POSは販売時点情報管理システムとも呼ばれ、販売活動をシステム管理することができます。このPOSにおけるシステム構築の発想が顧客管理と結びつき、自社カードの発行に至りました。これまで信販会社に頼っていたカード決済を内製化することで、新たな金融収益が期待できる考えられたのです。

 

クレジットカード事業は、銀行系であれ信販系であれ 使われて初めて利益ができるビジネスです。その点、小売りの現場を持つ流通系クレジットカードは使われやすいです。もちろん利用者にとっても、スーパーのレジでカードを提示すれば キャッシュレスで買い物ができるうえ ポイント還元もあるので魅力的です。また、クレジットカードにはキャッシング機能も付いており、主婦層の利用も多いと言います。ただ、主婦に対するキャッシングの多さは、過払金請求により 業績低下という事態を招きます。流通系カードにとって皮肉な結果となりました。


イオンクレジットサービスは成長の牽引役

GMS最大手の一角であるイオングループの金融事業部門における中核的存在なのが、イオンクレジットサービスです。会員数は2010年3月末時点で1800万人。カード業界では会員数1000万人を大手とみなしますが、イオンは国内のカード会社で6位にあたります。

 

会員増の源泉は、何と言っても イオングループが持つ大規模小売店舗の拡大志向にあります。大規模な総合スーパーを次々にオープンさせており、イオン,ジャスコ,マックスバリュ,ビブレ,サティなどのスーパー店内でカード加入を勧誘しています。また、カードの稼働率を上げるなどIT化にも熱心で、小売りの現場で得た購買情報を カード会員データと融合させて 豊富なデータ情報を蓄積しています。さらに、日本で培ったクレジットカードのノウハウを活かし、アジアネットワークの拡大も図っています。

 

イオンクレジットは、海外に数多くの拠点を持っています。90年に香港,92年にはタイに現地法人を設立し、トップクラスのクレジットカードに成長しました。また、04年にはマレーシアで クレジットカードライセンスを取り、08年にはベトナムで割賦販売事業を始めています。今後も 中国本土やフィリピンに展開する予定で、成長の牽引役になっています。ちなみに、同社の連結営業収益に占める海外部門収益は約3割です。

上場廃止になったセディナ

セントラルファイナンス,OMC,クオークの3社合併により、国内最大級のクレジットカード会社となったのが「セディナ」です。

 

セントラルファイナンスは、旧東海銀行系の信販大手で、2007年5月に 三菱UFJFGから離脱し SMFGの傘下に入りました。OMCは、08年2月に 三井住友銀行がダイエー保有のOMC株の32%を取得してグループ入りします。クオークは、旧住友銀行系の信販会社です。

 

セディナは、金融持ち株会社SMFGの下に 中間持ち株会社「SMFGカード&クレジット(SGCC)」を設立しました。そして、三井住友カードとともにSGCCの傘下に入る経営形態を作り上げたのです。この創設は、セディナ側が ノンバンク戦略の優先度合いが低くなると判断し、SMFGもこれに応じたからなされたと言われています。

 

ただ、合併した09年当時は、過払金請求がノンバンク業界全体に重くのしかかっていた時期でありました。そして、08年度に続き09年度第3四半期でも過払金請求が増え続け、130億円の利息返還損失引当金を積み増すことになります。早期退職の募集などリストラ策も実施しましたが、業績は回復しませんでした。このままではSMFGの業績にも影響を及ぼしかねないことから、11年4月末までに500億円を投じてSGCCと株式交換を行います。こうしてセディナは、5月からSMFGの100%と子会社となったのでした。

時々の経営陣に翻弄されたポケットカード

1982年に関西系スーパーのニチイが設立したのが、ニチイクレジットサービスでした。その後94年に社名をマイカルカードに変更し、96年には親会社もマイカルに社名変更します。ところが、マイカルが2001年に破綻、マイカルカードは破綻の直前に消費者金融の三洋信販に買収されました。そして、三洋信販の愛称であるポケットバンクにちなんで 社名をポケットカードへと改めます。

 

ただ、再スタートを切ったものの、はじめの数年間は経営が不安定でした。三洋信販の前オーナーである椎木会長が一時社長を兼務したり、外部から招へいした社長が短期間で辞任するなどしていたのです。また、前の親会社であるマイカルがイオンの支援を受けていましたが、イオンクレジットサービスとの間で多くの摩擦もありました。そこで、05年12月にマイカルとの業務提携を解消します。

 

一方で、親会社の三洋信販もプロミスと合併するなど 資本の不安定が問題となっていました。それが11年2月、伊藤忠商事,三井住友銀行,ファミリーマートとの間で、04年に資本・業務提携していたファミマクレジットと 経営統合することで合意します。3社が株主になることで資本基盤が安定するのはもちろん、これまで複雑だった資本関係も明確になりました。またファミマクレジットを100%子会社化することで、業容拡大の好機にもなりました。